うつ病の新しい形? “非定型うつ病”2008.6.11
世の中が複雑になるにつれて心の病が増えてきます。街中でも“○×メンタルクリニック”や“心療内科”を掲げる医院がふえています。先日の朝日新聞にはとくに若い患者さんが増えすぎて新患が数週間待ちの状態という精神科医の話が載っていました。うつ病はここ10年で約2倍以上増えていて、しかも最近のうつ病はいままでのうつ病とは違うようです。

まず今までのうつ病です。症状はこころ(精神症状)とからだ(身体症状)の2つに分けられます。精神症状としては何をするのもおっくう、集中力がない、一日中心配事や悲観的なことを考えている、人と接することが大儀などです。
身体症状としては不眠・頭が重い・頭痛・めまい感、食欲が低下し体重減少、肩こりや腰痛など体の痛み、体が重い、息苦しい、動悸がする、手足のしびれ感や寝汗などです。うつ病ではこのような状態が一日中継続しますが特に朝方に強く夕方にはすこし良くなる傾向があります。これらの症状があればうつ状態(または抑うつ状態)といい2週間継続するとうつ病の可能性があります。

では新しいうつ病はどうでしょうか。20-30歳代の女性に多く仕事に関する時だけうつ症状を訴えます。仕事が思い通りにいかない、仕事上のトラブル、職場になじめないなどを契機に手足が重く動かない、出勤できない、やる気がおきない、眠れないなどの抑うつ症状を訴えます。そのくせ休日など仕事から離れると元気になります。診断書をもらって休みたがります。これが今増えているうつ病で“非定型うつ病”といわれるものです。自己主張が強く自分が批判されると攻撃的になって自分を守ろうとするため “自己愛型”ともいい、自分の病気を会社や他人のせいにします。また、ささいな一言で落ち込むなど気分の浮き沈みが激しい、過眠傾向や過食による肥満、抑うつ状態が夕方に強くなるという従来のうつ病にはない特徴があります。社会経験に乏しく世間の厳しさを知らない、人格が未熟で挫折に弱い性格傾向が見受けられます。従来のうつ病より治療が難しいことが多いようです。
このように “ただのわがまま”にしかみえないのが最近増えているうつ病です。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)2008.3.16
寒くなると痰や咳がとまらず受診する方が多くなります。喫煙者であれば慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease :COPD)という病気が原因と思ってください。慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は“肺の生活習慣病”ともいわれ日本に530万人もいます。
たばこなど有害な空気を長期間吸っていると気道(空気の通り道で喉・気管から気管支末端の肺胞まで)を傷つけます。その結果気道に炎症を起こし次第に気道の壁が厚くなり内腔が狭くなってきます。そうなると空気の出し入れがスムーズにいかなくなり呼吸がしにくくなります。
COPDには2つのタイプがあります。一つは慢性気管支炎型で気管支の炎症が強く痰がたくさん出て咳を伴います。二つ目は肺気腫型で肺胞(気管支の末端で袋状の構造をしたもの)が壊れて酸素の取り込みがうまくできなくなります。
最初は風邪でもないのに咳や痰が頻繁にでます。症状はゆっくり進行しやがて階段や坂道などちょっとした動作で息切れや息苦しさを感じるようになります。更に進行すると呼吸困難がつよくなり日常生活にも支障が出てきます。
COPDは進行性の病気で一度壊れてしまった肺は元に戻りません。残っている健康な肺を維持すること、壊れた部分をこれ以上悪化させないためには喫煙をやめることが絶対必要です。お薬では気管支を広げて空気の出し入れを良くするため気管支拡張剤と抗コリン剤をつかます。気管支拡張剤はメプチンやテオドールなどの内服薬、ホクナリンテープなど貼り薬があります。抗コリン剤は吸入剤でスピリーバなどがあります。また気道の炎症を抑えるため喘息に使われるステロイド吸入剤も有効です。生活上での注意も大切です。ゆっくりした口すぼめ呼吸やおなかを出すような腹式呼吸で酸素が入りやすくなって呼吸が楽になります。風邪をひかないように十分な休養と睡眠、外出から帰ったら手洗いうがいをする習慣をつけることも大切です。
COPDが進むと肺機能が低下して酸素不足に陥ります。日常生活にも支障がでるようになると継続的な酸素の吸入が必要です。自宅に酸素を作る器械を設置して一日中酸素吸入をするのが在宅酸素療法です。カニューレというチューブで酸素を吸います。携帯用の小さい酸素ボンベで外出や旅行も可能です。