“後期高齢者医療制度”と“年金格差”2008.6.11
4月から始まった“後期高齢者医療制度”がいろいろ批判されています。この制度は小泉政権が“やりたい放題”だった頃、多数の与党議員に押し切られて成立した法案の一つです。
後期高齢者医療制度とは総医療費34兆円のうち75歳以上の高齢者の医療費は11兆円、全体の約1/3も占めているのだから高齢者にも相応の負担をしてもらうというものです。後期高齢者医療費の1割を後期高齢者の保険料でまかない、4割を若年者、5割を公費負担と定めました。つまり高齢者から新たに保険料を徴収して国の医療費負担を減らすことが目的です。
これまでは扶養者となっている高齢者は保険料を支払う義務はありませんでした。しかし4月からすべての高齢者が平均月額6000円を支払うことになりました。この6000円が問題です。高齢者のほとんどは年金以外に収入はありません。たとえば厚生年金のご夫婦(専業主婦の場合)では二人で月額やく25万でまだ余裕があります。深刻なのは老齢基礎年金だけの場合です。一人の支給額は月約66000円にすぎません。6000円は大きな負担です。このような“年金格差”を考慮しない徴収では不満がでるのも当然です。またこのシステムでは医療費が増えれば保険料も増額されます。将来保険料が上がるのは確実でこれも大きな問題です。
しばらくは高齢者が増え続けるため高齢者医療費の増加は避けられません。国の財源が厳しいことは十分承知していますが、何かあるとすぐ負担を増やすことばかりの政策では国民は納得できません。

 救急医療について2008.3.16
救急車の受け入れ先が決まらず搬送が遅れることが問題になっています。
救急医療には当院や夜間急病センターなど軽症を担当する一次救急、入院や手術も可能な中小の病院が担当する二次救急、専門医が対応し高度医療が可能な三次救急の3つで成り立っています。昨年4月、加古川市でおきた救急搬送に関連した事例の判決が波紋を呼んでいます。加古川市民病院に胸痛を訴えて受診した患者さんはすぐに心筋梗塞と診断され不整脈や血管拡張剤などの治療がなされました。担当医は三次救急病院をさがしましたが見つかるまで70分かかり患者は転送先で死亡しました。加古川市民病院が訴えられ “満足な治療設備や専門医がいないのに受け入れ専門病院の搬送が遅れた”という理由で病院は敗訴。十分な治療設備や専門医がそろってない病院では急患を診る資格なしともいえる司法判断は衝撃的といえます。これでは三段階の救急体制が意味をなしません。2次救急医療の現場の過酷さを理解できていればこのような判決にはならなかったでしょう。本来、救急専門医がいるごく一部の救急施設を除き一般病院の当直(宿直)は“入院患者の不測の事態に対応するため病院で寝る時間外業務“であり急患を診る義務はありません。それでも救急診療を続けるのは地域医療に貢献するという使命感からです。
救急医療は人件費がかさむ不採算部門でスタッフの過重労働など問題が多い職場です。さらに医療訴訟の危険が高くなり救急医療を縮小、廃止する二次病院も増えています。このままだと二次救急がますます縮小し三次救急病院は患者であふれていきます。中小の医療機関の救急医療での役割は想像以上に大きく、このままでは初期救急でさえ十分にうけられなくなります。